liquidjumper アプリ/ネットサービス AutoCAD LT販売終了!新しいAutoCADは何が変わった?価格と移行のメリット・デメリットを解説

AutoCAD LT販売終了!新しいAutoCADは何が変わった?価格と移行のメリット・デメリットを解説

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世界中の設計者、エンジニア、デザイナーから信頼されるCADソフトウェア

Autodesk AutoCAD


正確な 2Dおよび 3D 図面の作成に使用する、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェア

その中でも「Autodesk AutoCAD シリーズ」は、世界中の建築設計者、エンジニア、施工従事者の信頼を獲得しています。

そして、2D図面作成に特化した「AutoCAD LT」は、2Dに機能が限定されているとは言え、安価で購入できるCADソフトウェアという事で非常に人気が高い。

その人気のCADソフトウェア「AutoCAD LT」ですが、「AutoCAD LT with CALS Tools」を含め、2021 年 6 月 7 日以降の新規サブスクリプションの販売を終了しました。

AutoCAD LTのユーザーからすれば寝耳に水状態で、


「えっ!アップデートは?」
「サポートは?」
「高価なAutoCADを購入しないとダメなの?」


頭の上には「???」が沢山浮かぶでしょうし、AutoCADを購入するとなると、当然お金の心配も…


■生まれ変わったAutoCADシリーズ

2021 年 5 月 7 日、 Autodesk AutoCADシリーズの製品ラインナップが変更され、生産性や自動化そしてデジタル化の強化により再構築。

製品ラインナップは、全機能が使える「AutoCAD」と、業種別ツールセットで構成される「 AutoCAD Plus」 の2つに。

更に価格も大幅に改定。3D機能が省かれてない「AutoCAD」が大幅に値下げされ、なんと「AutoCAD LT」と同じ価格になりました。

■「AutoCAD LT」から「AutoCAD」へ

新しい「AutoCAD」が「AutoCAD LT」と同じ価格で購入できる事が分かり、「AutoCAD LTの販売終了」に対する疑問や心配は大分解消されたと思います。

でも「AutoCAD」と「AutoCAD LT」の違いって何?そんな疑問が新たに生まれます。

・3D機能の有無に違いがあるのは分かりますが、それ以外にも機能に違いはあるのか?

・2D図面作成に特化した「AutoCAD LT」ユーザーが「AutoCAD」へ移行し、操作に戸惑うことは無いのか?

・「AutoCAD LT」と「AutoCAD」の動作環境に違いはあるのか?

・生まれ変わったAutoCADシリーズとは?

・AutoCADの価格は?

・AutoCAD LTからAutoCADへ移行はどうするの?

・AutoCAD LTはこれからも使えるの?

・そもそも新しいAutoCADシリーズのメリットは何なの?

などなど疑問が沢山。


AutoCAD LTのユーザーからすれば寝耳に水の、「AutoCAD LTの販売終了」

Autodesk(オートデスク)が「AutoCAD LT」から「AutoCAD」へ移行してほしい気持ちは伝わります。

しかし、現ユーザーからすれば移行後のトラブルは避けたい。だから、できるだけ疑問は解消しておきたい。


この記事では、販売が終了したAutoCAD LTの現ユーザーが、再構築されたAutoCADシリーズに移行する際の疑問点を解説します。

自動化やデジタル化の機能が強化され、生産性の向上が期待できる「AutoCAD」への移行はメリットが多いですが、

現在「AutoCAD LT」のサブスクリプションライセンスを保有しているユーザーは、状況によりデメリットが生じる事もあるので、そこも合わせて解説できればと思います。


>> オートデスク公式 AutoCADの詳細



AutoCAD LT販売終了!

AutoCAD LT販売終了!


2D図面作成に特化したCADソフトウェアとして非常に人気の「 AutoCAD LT」

CADソフトウェアとしては安価な事も人気の要因ですが

Autodesk(オートデスク)は、2021 年 6 月 7 日以降の日本国内における「 AutoCAD LT」 および 「AutoCAD LT with CALS Tools」の新規サブスクリプションの販売を終了しました。


代わりに、「AutoCAD」が再構築され、価格も「AutoCAD LT」と同一価格に大幅改定。

2D図面作成が目的のユーザーも、今後は「AutoCAD」を購入する事になります。

「AutoCAD」には、AutoCAD LT の全機能に加え、API を使用したカスタマイズ、3D モデリング、ビジュアライゼーションなどの高度な機能が搭載されています。

従来の AutoCAD LT は引き続き使えるの?

AutoCAD LTのユーザーは、 引き続き従来の AutoCAD LT を利用できます。

AutoCAD LT または  AutoCAD LT with CALS Tools のサブスクリプションを更新し、最新版のダウンロードも可能。

また、各種お問い合わせ、オートデスクのサポートも利用できます。

 今後もCALS Tools は利用できる?

現在の「AutoCAD LT with CALS Tools 」サブスクリプションユーザーは、既存のサブスクリプションを更新することができます。

また、「AutoCAD」のサブスクリプションユーザーは、Autodesk App Store から無料で 「CALS Tools」 をダウンロードできます

生まれ変わったAutoCADシリーズとは

生まれ変わったAutoCADシリーズとは


Autodesk AutoCAD」は、生産性や自動化そしてデジタル化が強化され、更に価格も大幅に改定されました。

製品ラインナップは、業種別ツールセットを含まない「AutoCAD」と、

建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種別ツールセットで構成される「 AutoCAD Plus



また、価格改定により、3D機能が省かれてない「AutoCAD」が、「AutoCAD LT」と同じ価格で購入できます。

生まれ変わったAutoCADシリーズの価格

2D作図、3Dモデリング、ドキュメント作成、ビジュアライゼーションなどの機能が使える「AutoCAD」が、「AutoCAD LT」と同一価格で利用できます。

製品名AutoCAD LTAutoCADAutoCAD Plus
*希望小売価格(SRP)¥71,500/年(税込)¥71,500/年(税込)¥231,000/年(税込)
用途2D 作図、図面、ドキュメントの作成2D 作図、図面、ドキュメントの作成
3D モデリングおよびビジュアライゼーション
2D 作図、図面、ドキュメントの作成
3D モデリングおよびビジュアライゼーション
利用できるアプリ等AutoCAD Web アプリAutoCAD モバイル アプリAutodesk App Store の利用AutoCAD Web アプリ
AutoCAD モバイル アプリ
Autodesk App Store の利用
AutoCAD Web アプリ
AutoCAD モバイル アプリ
建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種に特化したツールセット
*希望小売価格(SRP):日本国内における 2021 年 5 月 7 日時点のシングルユーザーサブスクリプション(1 年・税込)

業種別ツールセットが使える「 AutoCAD Plus」

AutoCAD Plus (AutoCAD Including Specialized Toolsets)


「AutoCAD Plus」は、AutoCAD のすべての機能に加え、生産性を向上させる、各分野に特化した業種別ツールセットが利用できます。

■Architecture

8,500 以上のインテリジェントなオブジェクトとスタイルを利用できる業界専用のツールセット

建築製図、ドキュメント、集計表に対応する機能、作図作業の自動化に対応


■Mechanical

700,000 点 を超えるインテリジェントな製造パーツやフィーチャに対応した、機械設計のための業種別ツールセット

機械コンポーネントの生成、寸法記入、部品表(BOM)の作成などの機械設計タスクを自動化


■Electrical

電気制御システムを作成、修正、ドキュメント作成できるツールセット

番号付けやタグ付けなど、電気設計の一般的な作業をすばやく実行できます。


■Raster Design

業界専用ツールセットのラスター デザイン ツール

スキャンした図面を編集して、ラスター イメージを DWG™ オブジェクトに変換できます。


■Map 3D

CAD データに地理情報システムを取り入れられる、GIS と 3D マッピングのための業界専用ツールセット


■MEP

MEP (機械、電気、配管)に対応した業種別のツールセット

ビルディング システムの作図、設計、ドキュメント作成に有効。


■Plant 3D

プラント設計用の業種別ツールセット

P&ID、3D モデルを作成および編集し、配管のオルソ図およびアイソメ図を抽出します。


>> オートデスク公式 AutoCADの詳細

AutoCAD LTと新しいAutoCADの機能比較

AutoCAD LTと新しいAutoCADの機能比較


AutoCAD LT」は、2D図面作成の機能を求めている人に。

「AutoCAD」は、2D作図、ドキュメント作成、3Dモデリング、ビジュアライゼーションなどの機能を求めている人に。

「AutoCAD Plus」 は、AutoCAD に加えて各業種に特化した専門的な機能を求めている人に最適。

■AutoCAD製品の機能比較表

利用可能な機能AutoCAD LTAutoCAD
2Dジオメトリの作成と編集
トレース、テキスト、寸法値、引出線、表を使用して図面に注釈付け
リボンやツール パレットのカスタマイズ
PDF ファイルからデータをアタッチして読み込み
DGN ファイルや Bing マップのデータを共有して使用
オブジェクトとブロックの集計を自動化
ソリッド、サーフェス、メッシュ オブジェクトを使用して 3D モデルを作成し編集
アドオン アプリケーションや API を使用したカスタマイズ
オブジェクト データを表に抽出
証明、マテリアル、表示の各スタイルを使用してリアルなレンダリング作成
CAD 標準仕様を適用して準拠状態を確認
業種別ツールセット○※AutoCAD Plusのみ

AutoCAD LTとAutoCADの動作環境に違いは?

AutoCAD LTとAutoCADの動作環境に違いは?


2D作図においては「AutoCAD LT」と「AutoCAD」の動作環境に違いはありません。

「AutoCAD」は、「AutoCAD LT」の全ての機能を搭載し、同じ動作環境で使用できます。

つまり今現在「AutoCAD LT」が動作するPC環境なら、「AutoCAD」に移行しても操作可能という事。

■AutoCAD LT 2022 と AutoCAD 2022(業種別ツールセットを含まない)の動作環境(Windows)

OS64 ビット版 Microsoft® Windows® 10
プロセッサ基本: 2.5 ~ 2.9 GHz のプロセッサ
推奨: 3 GHz 以上のプロセッサ
メモリ基本: 8 GB
推奨: 16 GB
画面解像度従来型ディスプレイ:True Color 対応 1920 x 1080

高解像度および 4K ディスプレイ:Windows 10 でサポートされる最大 3840 x 2160 の解像度(対応するディスプレイ カードが必要)
ディスプレイ カード基本: 帯域幅 29 GB/秒の 1 GB GPU (DirectX 11 互換)
推奨: 帯域幅 106 GB/秒の 4 GB GPU (DirectX 12 互換)
ディスク空き容量10.0 GB
ポインティング デバイスマイクロソフト社製マウスまたは互換製品
.NET Framework.NET Framework バージョン 4.8 以降

■大規模データ、点群データ、3D モデリングなど高度な機能を使用時の追加要件

メモリ8 GB 以上の RAM
ディスク空き容量6 GB 以上(インストールに必要な空き容量を除く)
ディスプレイ カード3840×2160(4K)以上の True Color 対応ビデオディスプレイアダプタ
4G VRAM 以上
Pixel Shader 3.0 以上
Direct3D® 対応ワークステーション クラス グラフィクスカード

現在AutoCAD LTサブスクリプションのユーザーが新しいAutoCADに移行するメリット・デメリット

現在AutoCAD LTサブスクリプションのユーザーが新しいAutoCADに移行するメリット・デメリット


ここまで、新しい「AutoCAD」シリーズの機能が多い事や、価格が安い事を紹介してきました。

しかし、そもそも新しいAutoCADシリーズのメリットは何なの?

機能が多いのは分かったけど、それによって何が良くなるのかが分からないと、新規の導入も「AutoCAD LT」からの移行もできない。

新しいAutoCADシリーズのメリット:価格

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新しいAutoCADシリーズのメリットは、あらためてその価格でしょう。

業種別ツールセットが含まれていない「AutoCAD」は、作図やドキュメント作成のパワフルな機能に加えて、API を使用したカスタマイズや、3D モデリング、ビジュアライゼーションなどの多彩な機能を有しているにも関わらず、「AutoCAD LT」と同じ価格の¥71,500/年(税込)で利用可能。

また、「AutoCAD Plus」は、AutoCAD のパワフルな機能に加えて業種に特化した専用の機能やライブラリも利用できます。

新しいAutoCADシリーズのメリット:生産性が飛躍的に向上

オートデスク社が設計作業における生産性調査を行った結果「AutoCAD LT」から「AutoCAD」に移行すると生産性が飛躍的に向上する事が確認できたそうです。

その差は、最大7.1倍早く作業が完了し、全体的な生産性が86%向上

「AutoCAD LT」で100時間かかる作業が「AutoCAD」だと14時間で完了するなんて、

俄に信じられませんが、調査結果には、「AutoCAD」が作業時間の短縮につながるポイントも記載されてます。


1)パラメトリック拘束(最大33%の時間短縮)

パラメトリック拘束の幾何学構想と寸法拘束を作成、編集、管理する為に必要な機能がすべて備わっています。


2)平面図と立面図(最大46%の時間短縮)

3Dモデリングツールを使用し、簡単な操作で2D平面図オブジェクトや立面図オブジェクトを生成可能


3)アイソメ作図(最大61%の時間短縮)

3Dオブジェクトを簡単にアイソメビューで表示可能。


4)データの書き出し(最大93%の時間短縮)

データを抽出して図面またはMicrosoft EXCELファイルに表を自動作成する機能によって大幅な時間短縮


5)CAD標準仕様(最大81%の時間短縮)

新規・既存のDWGファイルが図面の標準仕様に沿っているかどうかを効率的にチェックできる機能によって時間を短縮


6)文字の編集(最大80%の時間短縮)

高度なワークフローで文字を変更・操作できるExpressTool


7)アプリケーションプログラミングインターフェイス(API)とAppStore

APIを利用して、手間と時間のかかるタスクを自動化。


生産性調査のハイライト:AutoCADとAutoCAD LTのメリット比較

AutoCAD LTユーザーが新しいAutoCADに移行するデメリット

新しい「AutoCAD」は、パワフルな機能を「AutoCAD LT」と同じ価格で利用できる、コストパフォーマンスに優れ、非常にメリットの多いCADソフトウェアです。

そんな、優れた「AutoCAD」のデメリットは何か?

それは、現在「AutoCAD LT」のサブスクリプションユーザーが、「AutoCAD」に移行する際に生じます。

前提として、すでに「AutoCAD LT」を利用しているサブスクリプションユーザーの、「AutoCAD」への自動的な移行は、現時点では行われません。

移行手続きは手動で行う必要があります。

現在の「AutoCAD LT」サブスクリプション期間が満了後、「AutoCAD」のサブスクリプションを新たにご購入


そうです、「AutoCAD」のサブスクリプションを新規で購入する必要があるんです。

勿論、「AutoCAD LT」のサブスクリプション期間終了以前でも、新規の「AutoCAD」サブスクリプションの購入はできますが、それって2重にサブスクリプション料金を支払ってる事になるわけで。

もう少しで、サブスクリプション期間が終了する場合は、効率良く「AutoCAD」に移行できます

しかし、「AutoCAD LT」を購入して直ぐだったりすると、一年間移行を我慢する必要があるかもしれません。


>> オートデスク公式 AutoCADの詳細

まとめ:シェアの大きい「AutoCAD」にするメリット

販売が終了した「AutoCAD LT」と、再構築された「AutoCADシリーズ」ついて解説しました。

新しい「AutoCAD」は、生産性や自動化そしてデジタル化が強化され、

業種別ツールセットを含まない「AutoCAD」と、

建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種別ツールセットで構成される「 AutoCAD Plus

の2つの製品ラインナップに。

また、価格が大幅に改定され、「AutoCAD」は、2D図面作成に特化した「AutoCAD LT」と同じ価格に。


現在、日本の企業内で使われるCADソフトウェアのトップシェアなのが「AutoCAD LT」。

そして生産性の向上が期待できるなどのメリットを考慮すると、今後多くの企業で「AutoCAD」に移行するのは明らか。

それを踏まえて、情報共有や共通フォーマット、生産性などを考慮すると、作業環境をトップシェアに合わせるのは大事。

新規でCADソフトウェアを購入する人は勿論、現在「AutoCAD LT」のユーザーもAutoCAD」にする事のメリットは大きいので、ライセンスの期間や予算、PC環境などの問題を検討した上で、導入するのが良いでしょう。


>> オートデスク公式 AutoCADの詳細







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