1982年に発表して以来CADソフトウェア市場のトップを走るオートデスクの「AutoCAD」
その「AutoCAD」が製品構成や価格を刷新。
機能面でも生産性や自動化そしてデジタル化の強化など、さまざまな点を再構築しました。
「AutoCAD」は、最高水準の2D作図作成や設計とビジュアライゼーションのための3Dモデリング、自動ワークフローやAPIによるカスタマイズなどにより、エンジニアリング、製造、建設の各分野のさまざまな課題を解決します。
この大幅にアップデートされた「AutoCAD」を新規で購入、または「AutoCAD LT」から「AutoCAD」への移行を検討してる方も多いでしょう。
ただ、購入にあたって懸念されるのが、PCのスペック。
「いま使っているPCで不満なく動作するのか」「もしくは、買い替えが必要なのか」
2D作図だけなら「AutoCAD LT」と同じスペックの環境でも問題ないかもしれないけど、「AutoCAD」だったら3Dモデリングもしたいし?
この記事では、新しい「AutoCAD」シリーズの動作環境を中心に「AutoCAD」の機能や「AutoCAD LT」から移行するメリットを解説したいと思います。
「AutoCAD LT」から「AutoCAD」への移行を検討してる方、又は新規で「AutoCAD」を購入しようとしている方は是非参考にしてみてください。
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- 生まれ変わったAutoCADシリーズ
-生まれ変わったAutoCADシリーズの価格 - AutoCAD 2022の動作環境(Windows)
-高度な AutoCAD の機能を使用する際の環境 - AutoCAD 2022 for Mac の動作環境
- AutoCADとAutoCAD Plus の違い
-業種別ツールセット:AutoCAD Including Specialized Toolsets - AutoCAD LT と AutoCAD の動作環境に違いはあるか
-現在AutoCAD LT のサブスクリプションユーザーがAutoCADに移行する方法 - 新しい AutoCAD シリーズのメリット
-新しいAutoCADシリーズのメリット:生産性が飛躍的に向上 - AutoCAD推奨スペックのパソコン
- まとめ:AutoCAD 2022の動作環境
生まれ変わったAutoCADシリーズ
生まれ変わった 「AutoCAD」は、自動化とデジタルコラボレーションを中心とした新機能が追加され、場所やデバイスを問わず、あらゆる環境から作業にアクセスしチームメンバーと共有、製品開発のライフサイクルや製造における作業時間を短縮します。
■業種別ツールセットを含まない
「AutoCAD」
■建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種別ツールセットで構成される
「 AutoCAD Plus」
製品構成は2つに整理され、それに伴い2D作図に特化した
「AutoCAD LT」 および「 AutoCAD LT with CALS Tools」は販売終了しました。
それに伴い3D機能が省かれてない「AutoCAD」の価格も改定され、販売を終了した「AutoCAD LT」と同じ価格¥71500/年(税込)で購入可能に。
「AutoCAD LT」 ユーザーは次の更新のタイミングで「AutoCAD」に移行しやすいのでは無いでしょうか。
※「AutoCAD LT」の更新価格で「AutoCAD」に移行できるワケではありません。
生まれ変わったAutoCADシリーズの価格
販売終了した「AutoCAD LT」、3D機能が省かれてない「AutoCAD」、業種別ツールセットが使える「 AutoCAD Plus」 の3製品を比較すると、
2D作図、ドキュメント作成、3Dモデリング、ビジュアライゼーションなどの機能が使える「AutoCAD」のコストパフォーマンの高さが良く分かります。
製品名 | AutoCAD LT | AutoCAD | AutoCAD Plus |
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*希望小売価格(SRP) | ¥71,500/年(税込) | ¥71,500/年(税込) | ¥231,000/年(税込) |
更新価格 | ¥64,900/年(税込) | ¥64,900/年(税込) | ¥209,000/年(税込) |
用途 | 2D 作図、図面、ドキュメントの作成 | 2D 作図、図面、ドキュメントの作成 3D モデリングおよびビジュアライゼーション | 2D 作図、図面、ドキュメントの作成 3D モデリングおよびビジュアライゼーション |
利用できるアプリ等 | AutoCAD Web アプリ AutoCAD モバイル アプリ | Autodesk App Store の利用 AutoCAD Web アプリ AutoCAD モバイル アプリ | Autodesk App Store の利用 AutoCAD Web アプリ AutoCAD モバイル アプリ 建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種に特化したツールセット |
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AutoCAD 2022の動作環境(Windows)
2D作図においては「AutoCAD LT」と「AutoCAD」の動作環境に違いは無いので、
現在「AutoCAD LT」が動作するPC環境なら、「AutoCAD」に移行しても操作可能。
しかし、3Dモデリングなど高度な使い方をする場合は、それなりにハイスペックなPCが必要になります。
AutoCAD 2022(業種別ツールセットを含まない)の動作環境(Windows)
オペレーティング システム | 64 ビット版 Microsoft® Windows® 10 |
プロセッサ | 基本: 2.5 ~ 2.9 GHz のプロセッサ 推奨: 3 GHz 以上のプロセッサ |
メモリ | 基本: 8 GB 推奨: 16 GB |
画面解像度 | 従来型ディスプレイ: True Color 対応 1920 x 1080 高解像度および 4K ディスプレイ: Windows 10 でサポートされる最大 3840 x 2160 の解像度 (対応するディスプレイ カードが必要) |
ディスプレイ カード | 基本: 帯域幅 29 GB/秒の 1 GB GPU (DirectX 11 互換) 推奨: 帯域幅 106 GB/秒の 4 GB GPU (DirectX 12 互換) |
ディスク空き容量 | 10.0 GB |
ポインティング デバイス | マイクロソフト社製マウスまたは互換製品 |
.NET Framework | .NET Framework バージョン 4.8 以降 |
高度な AutoCAD の機能を使用する際の環境
AutoCAD で大規模データ、点群データ、3D モデリングなど高度な機能を使用する場合はスペックの要件が追加されます。
現在「AutoCAD LT」のユーザーで、メモリとディスク容量が下記のスペックより少ない環境の方は多くないと思いますが、グラフィックカードは注意が必要でしょう。
AutoCAD で大規模データ、点群データ、3D モデリングなど高度な機能を使用する場合の追加要件
メモリ | 8 GB 以上の RAM |
ディスク空き容量 | 6 GB 以上(インストールに必要な空き容量を除く) |
ディスプレイ カード | 3840×2160(4K)以上の True Color 対応ビデオディスプレイアダプタ 4G VRAM 以上 Pixel Shader 3.0 以上 Direct3D® 対応ワークステーション クラス グラフィクスカード |
AutoCAD 2022 for Mac の動作環境
AutoCAD 2022 for Mac は、Mac Pro からMacBook まで、ほぼ全てのモデルで動作可能です。
しかし、Intel プロセッサ搭載のMAC用に開発されたので、Appleが開発したARMアーキテクチャのチップ「M1(Mシリーズ)チップ」を搭載しているモデルの場合は、Rosetta 2で動作します。
※2021年9月時点
オペレーティング システム | Apple® macOS® Big Sur v11 Apple macOS Catalina v10.15 Apple macOS Mojave v10.14 |
モデル | 基本: Apple Mac Pro® 4.1、MacBook Pro 5.1、iMac® 8.1、Mac mini® 3.1、 MacBook Air®、MacBook® 5.1 推奨: メタル グラフィックス エンジンをサポートする Apple Mac® モデル M シリーズ チップが搭載されている Apple Mac モデルは、Rosetta 2 でサポートされます。 |
CPU の種類 | 64 ビット Intel CPU 推奨: Intel Core i7 以上 |
メモリ | 基本: 4 GB 推奨: 8 GB 以上 |
画面解像度 | 基本: 1280×800 ディスプレイ 高解像度: 2880×1800、Retina ディスプレイ付き |
ディスク空き容量 | ダウンロードおよびインストール用に 4 GB のディスク空き容量 |
ポインティング デバイス | Apple 互換マウス、Apple 互換トラックパッド、マイクロソフト互換マウス |
ディスプレイ カード | 推奨: Mac ネイティブにインストールされたグラフィックス カード |
ディスク フォーマット | APFS、APFS(暗号化)、Mac OS 拡張(ジャーナリング)、Mac OS 拡張(ジャーナリング、暗号化) |
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AutoCADとAutoCAD Plus の違い
「AutoCAD」と「AutoCAD Plus」の違いは、建築設計、機械設計、電気制御設計などの業種別ツールセットの有無にあります。
■2D作図、ドキュメント作成、3Dモデリング、ビジュアライゼーションなどの機能を求めている人
「AutoCAD」
■AutoCAD に加えて各業種に特化した専門的な機能を求めている人
「AutoCAD Plus」
業種別ツールセット:AutoCAD Including Specialized Toolsets
「AutoCAD Plus」は、AutoCAD のすべての機能に加え、生産性を向上させる、各分野に特化した業種別ツールセットが利用できます。
■Architecture
8,500 以上のインテリジェントなオブジェクトとスタイルを利用できる業界専用のツールセット
建築製図、ドキュメント、集計表に対応する機能、作図作業の自動化に対応
■Mechanical
700,000 点 を超えるインテリジェントな製造パーツやフィーチャに対応した、機械設計のための業種別ツールセット
機械コンポーネントの生成、寸法記入、部品表(BOM)の作成などの機械設計タスクを自動化
■Electrical
電気制御システムを作成、修正、ドキュメント作成できるツールセット
番号付けやタグ付けなど、電気設計の一般的な作業をすばやく実行できます。
■Raster Design
業界専用ツールセットのラスター デザイン ツール
スキャンした図面を編集して、ラスター イメージを DWG™ オブジェクトに変換できます。
■Map 3D
CAD データに地理情報システムを取り入れられる、GIS と 3D マッピングのための業界専用ツールセット
■MEP
MEP (機械、電気、配管)に対応した業種別のツールセット
ビルディング システムの作図、設計、ドキュメント作成に有効。
■Plant 3D
プラント設計用の業種別ツールセット
P&ID、3D モデルを作成および編集し、配管のオルソ図およびアイソメ図を抽出します。
AutoCAD LT と AutoCAD の動作環境に違いはあるか
2D作図において「AutoCAD」は、「AutoCAD LT」の全ての機能を搭載しており、同じ動作環境で使用できます。
しかし、大規模データ、点群データ、3Dモデリングなど、AutoCADの高度な機能を快適に操作する場合は、グラフィックスカードを搭載したハイスペックなPC環境が必要になります。
※2021 年 6 月 7 日以降は AutoCAD LT および AutoCAD LT with CALS Tools の新規サブスクリプションはご購入いただけません。
現在AutoCAD LT のサブスクリプションユーザーがAutoCADに移行する方法
現在「AutoCAD LT」を利用しているサブスクリプションユーザーの、「AutoCAD」への自動的な移行は行われません。
「AutoCAD LT」ユーザーが「AutoCAD」への移行するには、新規の 「AutoCAD」サブスクリプションを契約する必要があります。
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新しい AutoCAD シリーズのメリット
「AutoCAD」は、2D作図やドキュメント作成などの機能に加えて、API を使用したカスタマイズや、3D モデリング、ビジュアライゼーションなどの高度な機能を、2D作図に特化した「AutoCAD LT」と同じ低価格で購入できます。
また、「AutoCAD Plus」は、「AutoCAD」の全ての機能に加え、業種に特化した専用の機能やライブラリ、さまざまなツールも利用できます。
新しいAutoCADシリーズのメリット:生産性が飛躍的に向上
オートデスク社が設計作業における生産性調査を行った結果「AutoCAD LT」から「AutoCAD」に移行すると作業スピードが最大7.1倍、全体的な生産性が86%向上する事が確認できたそうです。
生産性調査のハイライト:AutoCADとAutoCAD LTのメリット比較
https://autocadresources.autodesk.co.jp/home/autocad-autocad-lt-productivity-study-jp
調査結果には、「AutoCAD」が作業時間の短縮につながるポイントも記載されてます。
1)パラメトリック拘束(最大33%の時間短縮)
パラメトリック拘束の幾何学構想と寸法拘束を作成、編集、管理する為に必要な機能がすべて備わっています。
2)平面図と立面図(最大46%の時間短縮)
3Dモデリングツールを使用し、簡単な操作で2D平面図オブジェクトや立面図オブジェクトを生成可能
3)アイソメ作図(最大61%の時間短縮)
3Dオブジェクトを簡単にアイソメビューで表示可能。
4)データの書き出し(最大93%の時間短縮)
データを抽出して図面またはMicrosoft EXCELファイルに表を自動作成する機能によって大幅な時間短縮
5)CAD標準仕様(最大81%の時間短縮)
新規・既存のDWGファイルが図面の標準仕様に沿っているかどうかを効率的にチェックできる機能によって時間を短縮
6)文字の編集(最大80%の時間短縮)
高度なワークフローで文字を変更・操作できるExpressTool
7)アプリケーションプログラミングインターフェイス(API)とAppStore
APIを利用して、手間と時間のかかるタスクを自動化。
AutoCAD推奨スペックのパソコン
「AutoCAD LT」なら、3D表示はあまり関係ないのでグラフィクスカードを搭載してないパソコンでも十分動かせます。
つまり「AutoCAD」でも主な操作が2D作図なら、それほどハイスペックなPCは必要ありません。
下記の表を見ると分かりますが、第11世代 インテル Core i7 のモバイル用CPUだけで、推奨されるスペックを満たしています。
CPU | Intel Core i7 1165G7 |
コア/スレッド数 | 4コア/8スレッド |
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 | 4.7GHz |
コンフィグラブル TDP-up 周波数 | 2.8GHz |
統合グラフィックス機能 | Iris Xe Graphics |
最大メモリーサイズ | 64 GB |
グラフィックス最大動的周波数 | 1.30 GHz |
最大解像度 (HDMI 1.4)‡ | 4096×2304@60Hz |
最大解像度 (DP)‡ | 7680×4320@60Hz |
最大解像度 (eDP – 内蔵フラットパネル)‡ | 4096×2304@60Hz |
DirectX* 対応 | 12.1 |
OpenGL* 対応 | 4.6 |
■第11世代 インテル CPUを搭載するノートPC
OS:Windows 10 Home 64bit版 [正規版]
CPU:インテル Core i7-11800H (最大4.60GHz / 8コア / 16スレッド / 24MBキャッシュ)
メモリ:8GB (8GB x1)
SSD:M.2 NVMe SSD
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3060 Laptop GPU
OS:Windows 10 Home 64bit版 [正規版]
CPU:インテル Core i7-11800H(2.4GHz / Turbo 4.6GHz / 8コア16スレッド)
メモリ:16GB(8GB ×2)DDR4
SSD:1TB(M.2 NVMe)
SSD専用空きスロット:M.2 NVMe(PCI-e Gen3) 専用空きスロット ×1
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3070 Laptop GPU
■3DCAD/3DCG/動画編集/ゲーム開発向けデスクトップPC
3DCG、CAD、などのプロフェッショナルなアプリケーションで、正確性・安定性・快適な動作環境を構築したい場合、グラフィックスカードはやはり、NVIDIAのQuadroシリーズを搭載したクリエイターPCが最適。
OS:Windows 10 Home 64bit版 [正規版]
CPU:AMD Ryzen 7 5800X プロセッサー
メモリ:16GB (8GB x2)
1TB M.2 NVMe SSD / 2TB HDD
GPU:NVIDIA Quadro P2200
まとめ:AutoCAD 2022の動作環境
新しいAutodesk「AutoCAD」シリーズの動作環境を解説しました。
2D作図が業務の中心であれば「AutoCAD LT」と同じスペックの環境で良いので、「AutoCAD」への移行に問題は無いでしょう。
ただ「AutoCAD」の3Dモデリング等の高度な機能を使用する事を想定するなら、PC環境の確認が必要になると思われます。
生産性や自動化そしてデジタル化が強化され、生まれ変わった「AutoCAD」は、3D モデリング、ビジュアライゼーションなどの多彩な機能を有しているにも関わらず、「AutoCAD LT」と同じ価格の¥71,500/年(税込)で利用可能。
現在「AutoCAD LT」のユーザーも「AutoCAD」にする事のメリットは大きいので、サブスクリプション期間の終了が近い方は導入の検討をしてみてはどうでしょう。
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